会長挨拶

第11回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会
会長 小垣 滋豊
(大阪急性期・総合医療センター小児科・新生児科)
このたび、第11回日本肺高血圧・肺循環学会学術集会を、2026年5月30日(土)から31日(日)の2日間、神戸国際会議場において、副会長の大郷 剛先生(国立循環器病研究センター心臓血管内科部門肺循環科 特任部長)、武内 徹先生(大阪医科薬科大学病院リウマチ膠原病内科 専門教授)、西山 理先生(近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科部門 准教授)、中岡良和先生(国立循環器病研究センター研究所血管生理学部 部長)とともに開催させていただくことになりました。小児科医として、本学会学術集会を担当させていただくのは、第6回の東京医科歯科大学(現東京科学大学)小児科 土井庄三郎先生以来2回目となります。日本における肺循環・肺高血圧領域の本会を開催する重責を感じますとともに、栄誉ある機会をいただきましたことを会員の皆様に心より感謝申し上げます。
第11回学術集会のテーマは、「肺高血圧診療・研究・教育のさらなる融和を求めて~胎児から成人へ、そしてアジアから世界へ」とさせていただきました。肺循環は、心臓をはじめその他の全身臓器と連関しながら生命を維持するための根幹をなすものです。そこに生じる肺高血圧をはじめとする病態には循環器、呼吸器、膠原病、消化器、小児・新生児・周産期、胸部外科など多領域の診療科が関係します。これまでも多領域の臨床医が相互に連携し、病態解明や新しい治療法開発のために基礎医学者ともタッグを組んできました。そして難治性疾患である肺高血圧症およびその関連疾患の病態の解明、診断と治療成績の向上、ガイドラインの策定など多くの進歩を遂げてきました。しかしながら肺高血圧と肺循環疾患が完全に解明され克服されたわけではありません。これからも診療と研究の連携をさらに深め、次世代育成・患者教育・疾病啓蒙などの教育的側面も融和して一歩先に進むための一助となる充実した学術集会をめざします。その中で、肺の発生や胎児期肺循環の発達、新生児・小児期に生じた肺病変の成人への移行といった生涯という時間軸の視点も取り入れ考える機会となることを願っております。
今回は学術集会初日に第6回East Asia Society of Pulmonary Hypertension学術集会も同時に開催させていただきます。日本のみならず韓国・中国・台湾をはじめとする東アジア諸国から肺高血圧・肺循環のエキスパートと研究者をお招きし、熱い情報交換と交流の場となることを願っております。遺伝学的背景の類似した東アジアにおける知見は欧米とは異なる可能性もあり、東アジアにおける成果が将来的に世界に発信されることも期待しております。
最後になりますが、学術集会が実りあるものになるためには,会員の皆様一人一人の参加が何よりも重要です。若手、コメディカルの方もお誘いの上神戸の地まで足をお運びください。皆様とお会いできることを楽しみにしております。